人材育成で大切な考え方と成功のポイント!課題や計画の立て方、フレームワークもご紹介!
執筆: Saas辞典編集部 | |
少子高齢化になり、労働力人口の減少によって人材の確保が難しくなる中で、採用した社員の育成にお悩みではありませんか?
人材を確保できたとしても、企業が求める仕事ができるようになるにはそれなりの時間がかかります。
本記事では企業における人材育成で大切なことを徹底解説しています。
基本的な考え方から、成功のポイント、育成の手法やフレームワークもご紹介していますので参考にしてみてください。
- 人材育成をするときは目的を明確にする
- 人材育成で成功するポイントは時代に合った方法を取り入れること
- 計画の立て方で人材育成の効果が期待できる
- 人材育成で使えるフレームワークは「ギャップ分析」
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人材育成とは?
日本の企業では人材育成が急務の課題となっています。
では、そもそも人材育成とはどういうものなのでしょうか。
人材育成とは何を指していて、ゴールはどこなのか、全体像を把握していきましょう。
人材育成とは社員の能力を開発し、向上させること!
人材育成は、企業の経営理念の体現、ミッションの遂行、ビジョンの実現のために社員の能力を開発し、スキルアップやモチベーションを向上させることです。
そのため、どういった職種の誰をどんな目的でスキルアップさせたいのかによってその手法は異なってきます。
例えば、エンジニアとしてもっと活躍してもらいたいと期待されている従業員に、営業研修を受けさせてもあまり効果は期待できませんよね。
また、本人が希望していないキャリアの道へ進ませることも、モチベーションの低下につながってしまう恐れがあります。
改めてその人材育成の手法が本当に適切なものかどうか吟味することがポイントです。
人材育成の重要性
企業において人材育成は企業の存続、経営の効率化、業績を向上させていくうえでとても重要です。
企業の経営資源は「ヒト、モノ、カネ、情報、時間」とされ、その中でも1番大切なのは「ヒト」だと言われています。
なぜなら、ヒトが動くから仕事が生み出され、お金が動き、情報が流れ、お金も動くからです。
ヒトは感情の生き物なのでそれが不安定要素にもなりますが、一方で機械やAIではできないような想像を超えた力を発揮することもあります。
人材育成ができれば、下記のことが実現できるでしょう。
- 企業理念の浸透
- 人材の定着と離職率の低下
- 個人のスキル、能力アップ
- チームビルディング
- 企業風土の形成
- 新人の戦力化
- 中堅社員の次のレベルへのスキルアップ
- 管理職の育成
このことからもわかるように企業にとって人材は大事な経営資源であり、人材育成は重要な課題なのです。
また人材育成には人事管理や評価、タレントマネジメントが行えるシステムがおすすめです。
以下の記事で詳しく紹介しているのでぜひお読みください。
人材育成の目的
人材育成をする目的はたくさんあります。
一言に人材育成といってもその目的はさまざまありますので、ひとつひとつ具体的に見ていきましょう。
組織の継続と成長のため
人材育成の目的は企業の成長のためです。
組織を構成している人が成長し、知識やスキル、経験が増えて能力が高まると、企業の利益を生み出せるようになります。
人材育成がうまくいけば、本人も認識していなかった才能が発揮されたり、想像をはるかに超える結果をもたらしてくれるでしょう。
反対に、能力の高い人材を採用できても、企業がもとめる人材に育成できなかったり、本人の能力を開花させられなければ目標は達成できませんよね?
組織が成長する土台作りとして、人材育成は非常に大きな意味を持っているのです。
また組織の効率的な運営において人事管理は欠かせません。
人事管理システムについては以下の記事で詳しく紹介しているのでぜひお読みください。
幹部候補を育てるため
リーダーと呼ばれる部門長や上級管理職、役員などの幹部候補の育成も人材育成の目的の1つです。
組織を維持、拡大していくリーダーである幹部を育てられなければ組織は方向性を見失い、目標を達成することも難しくなるからです。
たくさんの社員を同じ方向性に動かしていかなければ、効率のよい仕事はできませんよね?
幹部候補の育成は組織にとって重要であるため、育成期間は比較的長期になります。
だいたい3年~10年という長い期間で実施されることが多いようです。
人材育成は幹部候補を育てるためにもとても重要で、育成には時間がかかり、指導方法は実践ベースで行われると認識しておきましょう。
生産性を高めるため
「生産性を高める」ことも人材育成の目的です 。企業の業績アップのためには生産性を高めることは必須であり、その生産性は個人の能力に左右されます。
同じ仕事をするのに、効率的なやり方を知っているかいないかで作業時間に差がでますよね?
新人社員よりもベテラン社員のほうが短時間で作業の質も量もよい状況をあなたも目にしてきたと思います。
生産性を高められる方法やツールを教えることも人材育成ではとても大事な目的の1つです。
ミッション、ビジョンを浸透させるため
人材育成で企業のミッションやビジョンを浸透させることができます。
ミッションやビジョンは、それが書かれた紙を壁に貼っているだけでは浸透しません。
と思った経験はありませんか?
これでは難しい局面で、企業の一員として、ミッション、ビジョンをもとに正しい判断をすることはできませんよね。
人材育成を通して何度も伝えるからこそミッション、ビジョンを浸透させられるのです 。組織の価値観や考え方を合わせるため
人材育成は組織としての価値観、考え方をすり合わせるためにも大きな役割を果たします。
考え方や価値観を共有していない場合、共通言語がないのと同じ状態です。
これでは円滑なコミュニケーションがとれません。
社内用語や、短縮用語を毎回説明するのは大変ですよね。
良質なコミュニケーションの土台作りとして、人材育成で組織の価値観や考え方を共有することはとても大事なことなのです 。ビジネスマインドを身に着けるため
人材育成は社員にビジネスマインドを身につけさせる目的もあります 。ビジネスマインドを持っていなければ、組織の求める目標や成果をあげるのが難しくなります。
あなたの会社の成績の良い営業マンほど、ビジネスマインドがしっかりしていると感じたことはありませんか。
そのビジネスマインドを身につけさせるために「仕事の基本」「取り組み姿勢」「行動や考え方」は研修やトレーニングなどの人材育成が必要なのです。
特に、新人や若手社員には時間をとりましょう。
個人のスキルや専門性を高めるため
組織で活躍し、求められている仕事の成果をあげるための個々のスキルや専門性の向上も、人材育成でできます 。必要な知識やスキルを要点を絞って教育することができれば、社員も効率的に吸収できます。
もし、個人に任せてしまったら成長にバラつきがでますし、そもそもスキルや専門性を高めることをしない人も出てくるでしょう。
人材育成の一環として行うことで一定の知識やスキルを持った社員に成長させることができます。
また、個人のスキルと専門性を高めるならタレントマネジメントが最適です。
タレントマネジメントを効率よく行えるタレントマネジメントシステムは以下の記事で詳しく紹介しています。
ぜひお読みください。
帰属意識を強めるため
人材育成は「組織に所属している」「社員は仲間である」といった帰属意識を強める目的があります 。帰属意識が高まると、組織で起きた出来事を「自分ごと」としてとらえられるようになり、仕事の効率や質が上がると言われています。
帰属意識は目に見えませんがとても大事なものであり、退職防止にも役立つでしょう。
顧客満足度をあげるため
人材育成は、営業職や接客が必要な職種の場合、その社員の対応が顧客満足度をあげることも目的の一つです 。顧客への対応の基本があることで、企業として一定のサービスの質を維持できるでしょう。
人材育成は組織のためだけではなく、顧客のためでもあります。
人材育成で大切な考え方と成功のポイント12選
企業、組織において重要な人材育成ですが、人を相手にするものなので簡単なことではありません。
計画通りに行かなかったり、思ったような成果につながらないと悩んでいる人事担当者も多いでしょう。
ここでは人材育成を成功させるポイントを紹介しますので参考にしてくださいね。
時代に合った人材育成
人材育成でまず大事なことは、時代に合った考え方、方法を採用することです。
今は時代の流れが早く、経営者や上司でも未経験なこと、判断が難しいことも出てきています。
この時代にこれまでのような「マニュアルさえよんでおけばいいんだ」といった育成方法ではとても対応できませんよね。
人材育成をするときは、組織として時代をどうとらえていて、どんな人材を育成したいのかを明確にし、時代に合った方法を選びましょう 。一貫性のある指導と教育
人材育成で大事なのは「言動と行動を一致させる」ことです 。いくら素晴らしい指導内容であっても、指導者が実行していなかったり、先輩がやっていないなどの状況では育成の効果が薄くなってしまいます。
言動と行動が一致していないことで、不信感や、不安感だけでなく、何のために学んでいるのかといった疑問を社員に与えてしまうこともあります。
とはいえ、指導者や先輩が指導内容を100%完璧にできることは基本的にはないでしょう。
大事なことは、100%できていなくても堂々と指導することであり、やろうとしている姿を見せることです。
そうすることで、指導内容をその場限りにせず、継続し続けることの大切さを伝えられるでしょう。
コーチングとティーチングのバランスがとれた育成
人材育成では適切な手法を使って指導することも大切で、特に「コーチング」と「ティーチング」の使い分けは大事です 。コーチングは、適切な質問によって相手から答えを引き出すやり方で、ティーチングは具体的なアドバイスや答えを相手に渡すやり方です。
どちらがいい、悪いということではなく、指導の内容や相手によって使い分けることが重要だと覚えておきましょう。
コーチングだけでは相手がイライラを感じるかもしれませんし、ティーチングだけでは指示待ちがクセづいてしまうかもしれません。
コーチングとティーチングをバランスよく取り入れるのがおすすめです。
相談できる環境作り
人材育成には社員の「成長したい」「学びたい」という意思が大切であり、それをサポートできるような環境作りが大切です 。困ったり、迷ったり、悩んだりしたときに気軽に相談できる環境があることは社員にとって安心材料になるからです。
指導者と育成対象者の相互のコミュニケーションがとれる場所を作っておくことをおすすめします。
社員の自主性を高める
人材育成で最初にしておきたいのは、社員の自主性を引き出すことです 。ビジネスの各現場では社員ひとり一人の考えや行動に任せなければならないことが多々あります。
自主性を持って動けず、いつも支持を仰いでいるようでは効率的な仕事はできませんよね。
とはいえ、一方的に教えるだけでは自主性を育てることはできません。
いくら指導者が「知識を増やせ」「スキルをあげろ」と言っても、社員にその気がなければ行動に移さないでしょう。
なんのために学ぶのか、学んだらどうなれるのか、といったことを伝え、社員が「やりたい」と思えるような伝え方が必要です。
指導の最初には、目的とゴール、そして、実践することのメリットを伝えて社員の自主性を引き出すようにしましょう 。個人に合わせた指導
人材育成では、個人に合わせた進め方、課題設定、進捗管理も大事です 。歩んできた人生、環境が違うのに一方的にマニュアルを押し付けてしまうと、やる気をそいでしまうかもしれません。
どこでつまづいているのか、何がわからないのか、などを把握しながら、個別に指導をすることで前向きに学び続けられるはずです。
そして、伝えるべきは過去の話ではなく未来の話であることにも注意しましょう。
なるべく1対1で話す時間をとり、ゴールへのロードマップを作るなど個別の指導もしていきましょう。
長期目線での人材育成
人材育成は長期的に行う前提で取り組みましょう 。社内にはいろんなタイプの人がいて、飲み込みがはやい人、器用な人、強み、特技など千差万別で、成長スピードに差があるからです。
大事なのは、計画通りにできたかどうかに固執するのではなく、どこまで何がわかって、どのくらい成長できたかです。
もちろん計画通りに進むに越したことはないのですが、そこに執着しすぎないようにしましょう。
短期的な成果を求めすぎると指導者、社員ともにモチベーションが下がってしまうこともあるからです。
具体的な目標設定(達成不可能な目標にしない、期日を明確にする)
人材育成をするときは目標を具体的に設定しましょう。
人材育成のカリキュラムは日々の業務とは別で行うものなので、目標設定が曖昧だとやる意味が見つけられなかったり、継続がむずかしくなってしまうからです。
期日のないものは目標ではなく希望や願望であり、達成できそうにない目標は「やりたくない」気持ちの温床です。
具体的で、期日があって、達成可能な目標設定をしましょう 。決断経験を積ませる
人材育成に成功するには社員に決断力を付けさせることが重要です 。なぜなら決断力はどんなビジネスパーソンにも必要な能力であり、決断力の質が業務の効率化や生産性の向上につながってくるからです。
指導者と一緒にどのようなプロセスでどう判断するのか、その結果を得る経験が積めるような環境やカリキュラムを用意するといいでしょう。
セカンドチャンスを提供する
人材育成をするときはセカンドチャンスを用意しておきましょう 。人の成長に失敗はつきものです。
1度の失敗も許されないようでは思い切った決断も、行動もできません。
ミスしないようにすることも大事ですが、ミスすることで学ぶこともあります。
1度のミスで育成や成長が途絶しないようにしましょう。
社員の思い描くキャリアと企業が求める人物像を一致させる
人材育成をするときは社員が目指す目標と企業が求める人物像を一致させましょう 。社員の意思を尊重することは大事ですが、それだけでは企業の人材育成の目的を達成することができないからです。
また、企業の求めるものを押し付けるだけでは社員の反発を招いたり、やる気をそいでしまうこともあります。
社員と企業とが同じ方向を目指して人材育成をしていくためには理念やビジョンなどを日頃から共有するようにしましょう。
上司と部下の関係を良好にする
人材育成を成功させるには上司と部下の関係はとても重要です 。両者の関係が悪いと、指導ができないだけでなく、コミュニケーションもとれないといったことも起きてしまいます。
上司と部下の関係が悪くて人材育成がうまくいかなかったという例は少なくありません。
上司は部下を受け入れることで、部下は上司からの期待やフォローがある安心感を感じます。
そうすれば積極的に新しいことにもチャレンジし、成長していけるでしょう。
人材育成がうまくいかない理由
人材育成がうまくいかない企業の特徴、理由を紹介します。
うまくいかない理由や課題を知り、事前準備や現場で起こる問題の回避に役立ててください。
指導者側のスキルや理解度が不足している
人材育成は部下の育成、成長が目的ですが、それを指導する側のスキルや意識を高めておく必要があります。
育成することの重要性を理解していなかったり、達成できないような計画や、そもそも人に関する意識が希薄だとスムーズな人材育成はできません。
指導者のマインドを整えるプログラムの実施や、指導者を対象としたオリエンテーションなどで指導者側のセットアップをしておくとよいでしょう 。時間が確保できない
人材育成の重要度が浸透していても、実際に教育する指導者が忙しすぎて時間がとれなければ育成は進みません。
多忙な指導者ほど優秀で業務量が多いことがあります。
指導者が忙しいまま片手間の指導になってしまうと社員を成長させることは難しくなります。
人材育成をするときは、指導者が指導の時間をとれるように業務分担の修正や改善、補助をつけるなどの工夫をしましょう 。研修に対して社員がネガティブ
研修や育成に関して社員がネガティブであったり、モチベーションが低いことがあり、これも人材育成がうまくいかない理由です。
しかし、それは、人材育成の目的が共有されていないことが原因です。
何のためにやるのか、自分がどうなれるのか、がわからなければなかなか前向きに取り組むことはできないでしょう。
社員がネガティブになっているときは、そのことを責めるのではなく、どうすれば前向きにやれるのかを企業側が考えていくことをおすすめします 。成果の測定が難しい
研修や育成の効果を数値で測定するのがむずかしいために、指導者も社員も、人事担当者もモチベーションを失ってしまうことがあります。
人材育成は長期的に行うものであり、教えたからといってすぐに何かが劇的にできるようになるわけではありません。
また、数値化しにくいのもでもあります。
テストやアンケートも、参考にはなるけれど評価ができるほどの材料にはならないでしょう。
そのため、研修や育成の効果については研修を受けたことでどのように行動や言動が変わったのかに注目する方法があります。
数字以外で成果を確認できるような方法を用意しておくとよいでしょう 。人材育成の担当者に必要なスキル
人材育成をするために指導者が持っておくべきスキルがあります。
ここでは特に大事なスキルを紹介します。
目標管理能力
目標管理能力とは、育成の対象者が目標を期限内に達成するために必要な対処を考え、実行する能力のことです 。現状把握と目標の間にある差を正確に把握し、目標が達成できるように軌道修正、調整をしていきます。
目標管理能力には現状把握能力が含まれることも覚えておきましょう。
ロジカルシンキング(論理的思考)
ロジカルシンキングとは、物事の結果と原因を的確にとらえて、両者のつながりを考える思考法です 。人材育成で生じる様々な問題を、結果と原因にわけて整理し、因果関係や課題の本質を見極めるのに役立ちます。
クリティカルシンキング(批判的思考)
クリティカルシンキングとは、起こっている出来事の本質を見極めるために、あえて疑いをもって考える思考法です 。日本語では「批判的思考」と訳されますが、欠点やあらさがしをすることではありません。
問題や課題の本質を見極めて改善、修正、リスク回避をするためのものです。
具体的には、「本当にこの方法でよいのか」「他にいい方法があるのではないか」など疑いを持って考えて最適解を見つけていく方法です。
人材育成計画の立て方
人材育成をするときは計画的・体系的に行う必要があります。
そうすれば社員の成長や生産性の向上、離職をさけられるでしょう。
ここでは計画の立て方を紹介します。
現状把握
人材育成で1番最初にすることは現状把握です 。キャリアの目標として何を掲げていて、3年後、5年後はどうなっていたいのかなど本人の意思やキャリアプランを確認しましょう。
また、その目標を支えているモチベーションは何なのかを知っておくことも大事です。
仕事に対する評価がモチベーションなのか、組織でのステイタスなのか、自己実現なのか、金銭的な報酬なのかです。
仕事に対する動機を理解しておくことで声かけやプラン、指導方法が変わってきます。
人材育成は対象となる社員の現状のスキル、知識、経験などを把握して最適な計画を立てましょう。
企業が求める社員像の決定
人材育成をするときは、自社は社員にどんな人材に成長してもらいたいのかを明確に決めておきましょう。
会社が何を目指していて、社員に何を求めるのかを決めておかなければ、必要な教育、研修、トレーニングが何なのかがわかりません。
また、社員もどこを目指していいのかわからず不信感や不安を感じてしまいます。
人材育成計画を立てるときは、自社が求める社員像を明確に決めておくことをおすすめします 。取り組み内容の具体化(プラン)
社員の現状把握と企業が求める社員像を明確にできたら具体的な取り組み計画を練っていきましょう。
社員の現状と企業の社員像のギャップを埋めるための指導、研修、トレーニングを計画に落とし込みます。
取り組み内容は階層や職種、管理職などによって大きく異なることを念頭に置いて計画するとよいでしょう 。振り返りの時間を取る
人材育成のための研修やトレーニングを実施したら、育成対象者自身にも振り返りをうながしましょう 。何を学び、何を得たのか、どのように業務に活かせているのかをアウトプットすることで、学んだことの定着がよくなります。
振り返りは復習の機会にもなるので毎回、忘れずに行うとよいでしょう。
狭義の人材育成の手法
人材育成は企業に貢献できる人材を育成することですが、その手法はさまざまあり、大きく分けて2つの手法にわかれます。
1つは、狭義の人材育成で、OJT、OFFJT、自己啓発、eラーニングです。
もう1つは、広義の人材育成で、ジョブローテーション制度、人事評価制度、目標管理制度、メンター制度です。
ここでは狭義の人材育成の手法について紹介します。
OJTによる人材育成
OJTとはOn-the-Job Training(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)の略で、職場での実務経験を通じて知識スキルを習得する方法です。
新人や若手社員を対象に行われることが多く、同じ部署の先輩や上司が育成を担当します。
実践しながら習得できるメリットはありますが、日常業務をしながらのトレーニングなので必要なことをすべて伝えきれないこともありるので注意しましょう。
OFFJTによる人材育成
OFFJTとはOff-the-Job Training(オフ・ザ・ジョブ・トレーニング)の略で、職場や通常業務から離れた特別な環境や時間で行う教育や訓練のことです。
体系的な学習ができるので、知識やスキルを整理しながら身に着けられるのがメリットです。
その分、現場でどう活かすかは育成対象者の応用力にかかっているので、OJTと合わせて行われることが一般的です。
自己啓発支援
自己啓発とは、自発的な学習の機会を設けることで、知識やスキルを高めるための読書や資格の取得などがそれにあたります。
社員の知識やスキル、意欲、帰属意識の向上に期待ができます。
ただ、コストがかかるものなので導入は人材育成につながるかどうかをしっかり見極めなければいけないと覚えておきましょう。
eラーニング
eラーニングはパソコンやスマートフォン、タブレットなどのデジタル機器、インターネットを利用して教育、学習、研修をする手法です。
ネット環境さえあればいつでもどこでも学べるため、受講者も管理者も負担が少ないことがメリットです。
eラーニングは実務経験が必要な学びには向いていないので知識やオペレーションなど継続学習や反復学習で活用するといいでしょう。
広義の人材育成の手法
広義の教育手法は制度設計が必要になる、比較的大規模な人材育成手法です。
ここではそのうちのいくつかを紹介します。
ジョブローテーション制度
ジョブローテーション制度とは、部署の異動や職種の転換を定期的に行い、幅広い知識とスキルを習得する制度です。
幅広い業務に対応できる人材を育てられるのがメリットです。
その反面、スペシャリストの育成や、専門性を身に付けるのは難しいというデメリットがあります。
人事評価制度
人事評価制度は、各社員の「能力、業績、勤務態度や意欲」などを客観的に評価して昇給や昇格に反映させるための制度です。
人事制度評価は社員を評価するためだけのものではなく、人材育成の手法としても重要な役割を担っています。
企業が求める社員像に近づいているのかどうかを客観的に見られる制度ですが、評価者によって評価の基準にばらつきがでてしまう傾向があります。
目標管理制度
目標管理制度は各社員が自分の目標を設定して、進捗や達成状況を評価するための制度です。
目標管理制度は個人が自分で決めた目標に向かってチャレンジを続けていく制度なので自主性やモチベーションの維持に役立ちます。
企業側からすると、個人の目標達成が組織目標達成につながっているので、求める社員像に近い人材を育成できているのか確認しやすいでしょう。
メンター制度
メンター制度は、知識と経験のある先輩社員がメンター(育成担当)となり、後輩社員(育成対象者)に対して教育、指導、サポートをする制度です。
メンターには育成対象者と年齢が近い先輩社員が抜てきされることが多く、相談しやすいメリットがあります。
その反面、メンターとなる先輩社員の負担が増えることと、相性が悪いと育成が進みにくいデメリットがあります。
メンター制度を十分に機能させるためには、ペアになっている両者を必要に応じてフォローする上司をおいておくとよいでしょう。
人材育成に使えるおすすめフレームワーク
ここでは人材育成に使えるフレームワークを5つ紹介します。
使いやすいものから試してみてみてください。
ギャップ分析
ギャップ分析は理想と現実のギャップ、差、課題を洗い出して理想に到達するための解決策を見出していくためのフレームワークです。
どんな目標であっても使える方法であり、仕事だけでなくプライベートの目標でも使えるので思考習慣として身に着けておくとよいでしょう。
ギャップ分析は5つのステップでできます。
ステップ1:理想を言語化する
ステップ2:現状を言語化する
ステップ3:理想と現実のギャップを書き出す
ステップ4:ギャップを埋める策を書き出す
ステップ5:解決策を実行できるレベルに落とし込んでスケジューリングする
シンプルで汎用性が高い方法で、どんなビジネスパーソンにも役立つ便利なフレームワークなので積極的に取り入れることをおすすめします。
ベーシック法
ベーシック法は目標設定の基礎的なフレームワークです。
「目標項目」「達成基準」「期限設定」「達成計画」の4つのステップで目標と達成するための道筋を設定します。
ベーシック法のメリットは達成したい目標だけでなく、達成するための具体化された行動目標が設定できることです。
目標に沿って行動を含めて計画をたてることができ、目標にそった全体の流れが一目でわかるので現状把握がしやすい方法です。
人材育成において目標設定は必要不可欠なので上手に活用するとよいでしょう。
モチベーション理論(内的動機付け)
モチベーション理論は人の行動を引き起こし、方向づける動機付けの理論のことです。
人の動機には「外発的要因」と「内発的要因」があり、「内発的要因」の方が強い社員は高いパフォーマンスを継続できるとされています。
・外発的要因
金銭、評価、地位、感謝など外部から与えられる者によって引き起こされる動機(モチベーション)
・内発的要因
貢献、やりがい、成長の欲求、幸福感、充実感など仕事の内容に対して自分の内部からわきあがる動機(モチベーション)
外発的要因は即効性がありますが継続性は期待できません。
外発的要因を使いながら、内発的要因を引き出すような関わりをすることで人材育成の成果が見込めるでしょう。
ソーシャルスタイル理論
ソーシャルスタイル理論は人のコミュニケーションや立ち居振る舞いの傾向を4つに分類したものです。
感情表現が多いのか少ないのか、自己主張が多いのか少ないのかという2軸のマトリクスでその人のソーシャルスタイルを分類します。
ソーシャルスタイルを知ることでコミュニケーションの質が上がったり、相性が悪いと感じる相手との付き合い方がわかります。
人材育成やチームビルディングで友好的な方法です。
思考の6段階モデル
思考の6段階モデルとは、人が物事を記憶し、理解して最終的に新しいものをうみだせるようになるまでの段階を示したフレームワークです。
思考は「知識→理解→応用→分析→結合→評価」の6段階で行われるという前提があります。
この段階を活用して、育成対象者の段階を把握する指標として活用したり、指導者の選出基準に活用できるフレームワークです。
階層別人材育成
人材育成と一言に行っても、誰が対象なのかによって重視することが違ってきます。
ここでは、新入社員、中堅社員、管理職の3つの階層に分けてポイントを解説します。
新入社員の育成
新入社員の育成は自社の経営理念の理解、ビジネスマインドの醸成、ビジネスマナーの基本を習得させることがメインです 。入社して間もない時期は帰属意識を高め、離職率を下げるためにも重要な育成期間です。
社会人としての基礎を作る大事な期間であり、環境が変わったことで社員自身がナーバスになっていることもあります。
仕事だけでなく、プライベートでも相談できるような環境を用意しておくとよいでしょう。
中堅社員の育成
中堅社員の育成は組織の中核を担う人材として、育成担当者としてのスキル向上や幹部候補としてマネジメントスキルを向上させることがメインです 。このタイミングの社員は目の前の仕事をしていた状態から、徐々に視野を広げて組織全体を見られるようにしていくタイミングです。
自己啓発、個別面談などによるキャリアプランの設定、状況に応じてジョブローテーションをしていくことで視野を広げられるでしょう。
管理職の育成
管理職の育成は経営方針を正しく理解し、目標達成に向けてマネジメントしていくスキルを高めていくことを主軸に行います 。育成内容としては、経営戦略や組織論など経営的な視点を醸成する内容が重要になってきます。
自己啓発や実際のマネジメント業務などによって自発的に学びを得ていくような手法を積極的に取り入れていくとよいでしょう。
人材育成で大切な考え方と成功のポイント!まとめ
人材育成で大切な考え方や成功のポイントを紹介しました。
特に重要なものは下記です。
- 目的を明確にし、目標を設定するときは期限を決める
- 長期視点で取り組み、短期的成果を求めすぎない
- 時代の流れに合った指導方法を取り入れる
- 指導者と育成対象者の双方向のコミュニケーションを大切にする
- 全体把握とギャップを常に把握して柔軟に対応する
人材育成は成果が見えにくいのでやり方があっているのかと悩むこともあるでしょう。
また、人が相手なので唯一の正解はありません。
その中で大事なのは先ほど挙げたような、成功のための考え方とポイントを抑えておくことです。
この記事を参考に、1つの成功例、1つの失敗例に一喜一憂することなく柔軟に、そして長期目線で人材育成に取り組みましょう。
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