副業(複業)の実態 〜働き方改革意識調査 3/3〜

執筆: 『人事労務の基礎知識』編集部 |

副業について

独立行政法人・労働政策研究・研修機構より発表された大規模な調査レポートを元に「働き方改革」文脈で頻出するキーワード「テレワーク」「AI」「副業」の実態、及び企業側/労働者側がどう思っているか紹介するシリーズの最終回。
 
今回は「副業(複業)」についてです。
※「副業」を「複業」と表記する風潮があります。これは「主」→「副」ではなく、複数の「業」をパラレルに行うという意味が込められています。ただし今回は、冗長性回避のため及びアンケート時に「副業」という文言を使っているため、以下「副業」で統一します。

 
※調査レポートは企業側:2,505件、労働者側:12,839件の回答を集計した大規模なものです(ページ下部に概要あり)。
 

副業をしていますか?

副業をしている:1.9%

副業をしている労働者は、1.9%と低い値です。

  • 1.9%:副業をしている
  • 97.8%:副業はしていない(内32.1%:副業をしたい/65.0%:副業をしたくない)

また、副業していない人に今後の意向を尋ねたところ、65%の人は今後も「副業をしたくない」と回答しました。
今回のアンケート用紙は企業単位で配布しているため、正確な情報を反映していない可能性があります。それでもやはり副業に対しての意識は低いことがわかります。
 

副業への会社スタンス

従業員の副業を認めているか?

  • 83.4%:禁止している
  • 16.1%:容認している
  • 0.1%:推進している

副業を積極的に推進している企業は全体の0.1%です。
大部分の企業(83.4%)は副業を禁止しています。
 

なぜ副業を禁止しているのか?

副業を禁止している企業に、その理由を尋ねました。

  • 81.9%:業務に専念してもらいたい
  • 63.2%:疲労による業務効率の低下防止
  • 37.7%:業務上の秘密保持
  • 29.1%:企業秩序を乱すから

 

今後の副業についての考え方は?(企業編)

将来、ICTを利用した働き方(テレワーク等)が進んだら副業に対しての考え方に変化があるか調査しました。
 
禁止中の企業

  • 54.5%:副業は推進しない
  • 41.9%:どちらともいえない
  • 1.3%:副業を推進したい

 
推進・容認企業

  • 70.5%:どちらともいえない
  • 24.8%:副業は推進しない
  • 3.7%:副業を推進したい

現在禁止中の企業で、今後副業を推進したいと答えた企業はわずか1.3%でした。
また現在推進・容認中の企業では70.5%が「どちらともいえない」と回答しており、副業について企業の満足度が低いことが理解できます。
 

副業への従業員スタンス

副業をする(したい)理由

従業員が副業をする(したい)理由の第一位は「収入を増やしたいから(84.9%)」でした。

  • 84.9%:収入を増やしたいから
  • 33.9%:自分が活躍できる場を広げたいから
  • 30.4%:様々な分野の人とつながりができるから
  • 10.6%:現在の仕事で培った能力を活用するため

 

本業の仕事に対する副業の役立ち度

「副業をしている」人に、副業が本業の役に立っているかへの質問への回答は、役に立つ/役に立たないが拮抗しました。

  • 45.5%:役立つ(合計値)
  • 50.4%:役立たない(合計値)

まとめ

将来にわたって予想される人手不足(労働力不足)に対する、ひとつのソリューションと目されている「副業」。今回のアンケートでは副業中の労働者は1.9%と低い値となりました。
 
すでに地方では、「農業」+「会社員」や、「農業」+「スキー場係員」などの副業は当然のように行われていますし、都市部でも、特に大企業の従業員を中心として自己啓発的な「副業(複業)」を推進する人たちが目立ってきました。
 
「副業」単体を捉えて「良い」「悪い」と判断するのではなく、将来どのように労働力は提供されるべきなのか。そしてそれは人々の幸せにつながるのか。明快な回答が無いかもしれませんが、労使双方ともに真剣に考え続けなければなりません。
 

調査概要・出典

【調査概要】

  • 「イノベーションへの対応状況調査」【企業調査】
  • 「イノベーションへの対応に向けた働き方のあり方等に関する調査」【労働者調査】

このレポートは2017年1月30日から1ヶ月間、下記対象に行われたアンケートを集計したものです。

  • 企業側:100人以上雇用する全国の企業(有効回収数:2,505件/12,000社)
  • 労働者側:上記企業ごとに8人(有効回収数:12,839件/96,000人)

 
【出典】

 

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