厚生年金保険の「基礎年金番号」が必要となる人事労務手続き

執筆: 『人事労務の基礎知識』編集部 |

入社予定の方に提出してもらう書類に、年金手帳があると思います。この記事では、厚生年金保険に加入している会社の人事労務担当者に向けて「基礎年金番号」が必要となる社会保険の手続について説明します。

基礎年金番号とは

基礎年金番号とは、年金手帳の中に記載されている番号で、国民一人につき、一つの番号が付与されます。

転職などにより加入する公的年金制度(国民年金・厚生年金保険・共済組合など)が変わっても、同一の基礎年金番号を引き継ぎます。

以前は、基礎年金番号は公的年金制度ごとに異なる番号が付けられていました。国民年金・厚生年金保険・共済組合など、加入する年金制度で番号が異なっていたのです。そのため転職などで加入する制度が変わると、新しく番号が付けられ一人で複数の番号を持つこともありました。そうなると、年金管理(受給手続など)に手間がかかったり、本来の受給額がもらえないなどの問題が発生することとなります。

そのような問題を改善するため、平成9年1月からすべての年金制度に共通した「基礎年金番号」が付けられるようになったのです。

年金手帳の見開き

平成9年1月以降に発行された年金手帳は、上記の通り青の表紙です。平成9年1月以前のものにはオレンジ色や肌色の年金手帳があります。

従業員を採用したとき又は労働時間が一定以上に増えたとき

会社が社会保険に加入している事業所(適用事業所)であり、一定以上の労働時間(おおむね週30時間)と採用時に一定の雇用期間がある場合は健康保険及び厚生年金保険に加入しなければなりません。

20歳未満でも社会保険に加入している会社に入社すると、厚生年金保険加入の対象となります。その場合、資格取得の手続をすると自動的に年金手帳が発行され本人に送られるので、手帳が手元に届いたら基礎年金番号を聞いてください。

被保険者資格取得届日本年金機構資格取得届

従業員が退職・死亡したとき又は労働時間が一定以下に減ったとき

従業員が退職又は死亡した場合や、一定以上の労働時間(おおむね週30時間)下回るような状態が続く場合など健康保険及び厚生年金保険の資格を喪失します。

保険者資格喪失届日本年金機構資格喪失届

扶養家族の増減があったとき

被扶養者になるための条件を満たす人がいる場合や被扶養者であった人が扶養から外れるようになった等の場合に手続が必要です。20歳以上で配偶者(年収130万未満)がいる場合は、配偶者の基礎年金番号も手続書類に記載しなくてはなりません。

健康保険被扶養者(異動)届日本年金機構扶養移動届

結婚等や引っ越しで名前や住所が変わるとき

健康保険又は厚生年金保険に加入している人が氏名や住所を変更した場合、速やかに変更の手続をしなくてはなりません。

被保険者住所変更届日本年金機構住所変更届

被保険者氏名変更(訂正)届日本年金機構氏名変更届

上記のような手続では氏名・住所・生年月日と基礎年金番号によって、日本年金機構や健康保険組合が本人かどうかを確認しているため、必ず基礎年金番号を記載しなくてはなりません。他にも産前産後休業・育児休業介護休業の手続など社会保険に関わる手続ほとんどに必要になってきます。

【参考】年金手帳を紛失してしまったた場合

年金手帳を紛失してしまった又は棄損して番号が分からない場合は、年金手帳を再発行する事が出来ます。手続を行うには、下記の二通りの方法があります。

  • 従業員が直接管轄の年金事務所に行って手続をする。
  • 会社が入社手続同時に年金手帳再交付申請書を記入し資格取得届に添付する。

どちらの方法でも再発行された年金手帳は従業員本人に送られます。基礎年金番号は個人情報のため、会社が申請したとしても会社には送られません。

従業員の手元に届き次第、基礎年金番号の確認をして下さい。

年金手帳再交付の手続きはこちらからできます。(日本年金機構年金手帳再交付申請

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